『点』の情報を『線』そして『面』へ 情報管理の次なる課題

Posted on Jul 7, 2010 in blog

こんにちは。

前回、情報管理のあり方として、「タグ」による多軸情報管理の重要性を述べました。

前々回前回と情報管理のあり方についてマニアックな内容を書いています。
先日も雑誌の取材を受けた際に、記者の方と情報管理について熱く議論してしまいました。
マニアックな内容ですが、必ず注目される情報管理のあり方なのでお付き合い頂ければと思います。

では、本題。

Gmail、Evernoteなど「クラウド」としての注目を浴びていますが、
私は「タグ」による情報管理への転換の方を注目しています。

タグ??? 多軸???

んっ?という方、分からない方、忘れた方は、とりあえず前回のコラムを読んでみてください。
前回記事:『 クラウド 』 より 『 多軸 』 新しい情報管理のあり方

私が初めて、「タグ」という考え方のソフトにであったのが、Gmailです。

前回にも書きましたが、通常のメーラーは受信ボックスのメールを、左側に自ら作成したフォルダに振り分けます。
言い換えれば、物理的な情報(メール本分)を物理的な器(フォルダ)に格納しているようなものです。

しかし、Gmail は違います。

ご存じの方も多いですが、Gmailはフォルダにメールを振り分けるということはしません。
Gmailは受信ボックスに時系列にメールがどんどん貯まる仕組みになっています。

そのかわりに、Gmailは各メール本分に対して、
「タグ」(Gmailでの呼び方は「ラベル」)を付けます。

メールに対して、「XXプロジェクト」「契約関連」「業務外」「添付ファイル有り」など「タグ」は複数つけることができるので様々な分類が出来ます。

物理的な情報(メール本分)は、大きな器に時系列に貯めておき、
これで、メールをどのフォルダに入れようか?など迷うことがなくなります。
私は、このGmailに出会ったときに、これだ!と思いました。

ただ、Gmail にも問題がありました。
それは、「タグ」そのものを、階層化できないという問題です。

通常のメーラーだと、左側にあるフォルダを階層化して、「フォルダの下にまたフォルダ」 といったように構造的に情報を分けていると思います。
メールだったらそこまで分類化していなくても、最近はGmailをコミュニケーション以外の情報管理に使っている人も増えています。
そうなると「タグ」を階層化出来ないことは致命的だと思います。

というので、Gmail は「タグ」の階層化という問題をはらんでいました。

しかし、最近になってGmail もタグの階層化に対応するようになりました。
Gmail Labs の「ラベルのネスト」という機能です。

Labsの機能なので、知らない方も多いと思います。
是非、階層化の機能を使ってみてください。

コミュニケーション情報としてのメール管理はGmailでほぼ対応可能です。

次に、調査情報・議事録などの情報管理については、どうなるでしょう。

そこで、活躍するのが Evernoteです 
そして、このEvernoteは「タグ」の階層化 にはいち早く対応してました。

Evernoteは、左側に管理しているタグを表示できますが、そのタグを階層化し情報を管理することができます。

私の「タグ」の体系は、

——————————————————————————
01.情報源
└0.アイデア
└1.調査情報
└2.本・論文

02.情報区分
└0.政治・経済・社会
└1.産業 個別受注・インフラ
└2.産業 自動車関連
└・・・・・・

03.ソリューション
└01.会計
└02.BOM
└03.PLM
└04.生産管理
└50.企業変革/PM
└・・・

・・・・・・

10.マーケティング
└・・・・

20.会議
└2010 Q1
└2010 Q2
└・・・

30.顧客
└・・・

——————————————————————————

と、こんな感じに「タグ」を階層化しておくことで、フォルダ構成のように見せることができます。

そうすると

例えば、ある調査情報に対して、「1.調査情報」「2.産業 自動車関連」「01.会計」のタグをつけておくことで、

——————————————————————————

01.情報源
└0.アイデア
└1.調査情報 ● ← ここの分類に調査情報が見える

02.情報区分
└0.政治・経済・社会
└1.産業 個別受注・インフラ
└2.産業 自動車関連 ● ← この分類でも同じ調査情報が見える
└・・・・・・

03.ソリューション
└01.会計 ● ← この分類でも同じ調査情報が見える
└02.BOM

——————————————————————————

と、1つの情報があたかも複数のフォルダ構成に属するかのように見ることができます。

これが、「タグ」による多軸情報管理というものです。
(多軸というのは、様々な視点でのフォルダ構成に属するという意味)

情報を多軸管理(複数のフォルダ構成に属させる管理)をする意味は、
様々な視点で情報を見ることで、『点』の情報を『線』・そして『面』に変えていくためです。

前回にも触れましたが、
情報を「格納する」ことが目的なら、1つの軸でどこかのフォルダに所属させておけば良いですが、
情報を「活用する」ことが目的なら、多軸で情報が管理され、関連のモノが横並びになっている必要があります。

情報管理を単なる格納と捉えると多軸の意味は必要ないですが、情報の活用と捉えるとやはり1つの情報を様々な視点で分類できる必要性を感じます。

そして、このEvernoteですが、完璧でありません。

この「タグ」は全て手で付ける必要があります。
これがまた面倒なのです。

そう考えると、Gmailは、「フィルタ」という機能があり、
メールのFrom、To、件名、キーワード、含めないキーワード、添付ファイルあり
の区分で、自動的にタグ(Gmailではラベル)をつけることができるのでGmailの方が一歩するんでいるかもしれません。

最近Evernoteの注目度は非常に上がっており、利用者も多いと思います。

Evernoteの自動タグ設定機能に期待しましょう。


これかの情報管理は、「タグ」による多軸情報管理。

そのために、
「タグ」の階層化
「タグ」の自動設定機能

この2つが大きな鍵を握りると思います。

ちなみに、
この多軸情報管理は、最近様々なソフトウェアで採用が進んでいます。

例えば、
Windows7 のライブラリ機能
関連記事:Windows 7も活用 クライアントPCに埋もれた「データの見える化」
関連記事:Windows 7 徹底解剖 ライブラリの紹介
あのWindowsもこの流れに少しづつ対応しています。
マニアックな機能で知っている人は少ないですが・・・
以前、実際にどのような使い勝手か、有楽町ビックカメラの店員に聞いても、店員も知りませんでしたからね。
Windowsも1軸での情報管理の限界は感じているようで嬉しいのですが、
「タグ」という考え方ではなく、単にフォルダのショートカットの拡張程度の機能で十分ではありませんが。
ただ、デファクトメーカーがこの流れになっているのはうれしいものです。

domoTodo+
関連情報
タスク管理のソフトです。Googleカレンダーと双方向動機ができ、非常に便利です。
iPhoneアプリがあり、私はこれを使っています。
これも、タスクに「タグ」という考え方があり、それで様々な分類ができます。
「タグ」の階層化はありません。

Box.net
関連情報
オンラインストレージサービスのソフト。要は、複数のパソコンで色々作業できるようにオンラインのフォルダ同期ソフト。
オンラインでの同期ソフトで有名なのは、Dropbox、SugarSync。
このBox.netの知名度はそれほどありませんが、これは単なる同期ソフトだけではなく、
情報分類としての「タグ」という考え方も入っています。
Box.netも「タグ」の階層化が出来ないはず・・・
まだ、きちんと使いこなせていないので十分な理解が少ないです。
同期ソフトは、まだSugarSyncを使っており、Box.netはお試しでしか使っていないので・・・・

と、こんな感じで様々なソフトが「タグ」「多軸情報管理」の流れになりつつあります。

是非、皆さんも情報管理のあり方について考えてみてください。

2010年7月7日
「一生懸命」悩み、「一生懸命」考え、「一生懸命」生きる。そんな人生を・・・