戦略的固定費論

Posted on Aug 26, 2014 in blog

戦略的固定費論

2014年9月12日に、日本管理会計学会の全国大会にて研究報告します。日本管理会計学会は2011年の全国大会から毎年研究発表しています。今年で4回目の報告となります。純粋な研究者でないものが、日本管理会計学会の全国大会という権威のある学会にて発表させて頂けるのはありがたい限りです。※大会概要はこちらから

 

今年は、「戦略的固定費論〜原価企画と顧客価値会計による固定費の考察〜」というテーマで報告をします。これまで、セミナーでも学会でも、製造業は固定費回収ビジネスだから固定費マネジメントが重要である。と訴えかけ続けてきました。なので、この固定費だけにフォーカスをあてて、報告をしようと思います。   固定費は事業活動のかなりの上流で、既に投資(発生)し、各事業では ”減価償却費” というアンコントロールな費目として負担させられます。しかも、この減価償却費は、法で決められた”年”で勝手に分配されます。この事業とはまったく関係のない所で、金額が動き、まったく関係のない所で負担させられます。

 

固定費マネジメントが、事業の最大のマネジメントであるにも関わらず、まったく無関心。一方で、材料費・部品費・作業員の労務費(直接労務費)などの変動費部分には多くの関心があります。それは事業活動の都度発生し、コントロールしやすいという観点からなんでしょうが・・・。しかし、なんとも悲しい現実であります。諸悪の根源は、「財管一致」「会計基準」「原価計算基準」です。この現状をなんとか打破すべく、今年は「固定費」について熱く語りたいと思ってます。

 

研究報告要旨

製造業の事業収益性は固定費マネジメントに寄与する。しかし、現在の固定費は操業度/売上などの一定率に応じて製品賦課されるなど、事業性や戦略性に欠けている事はしばしば指摘されている。

また、設備・金型・研究開発などの固定費に関しては投資時の意思決定は慎重に行われているが、その後の回収マネジメントが実施されていないのが現状である。理由は、固定費回収は複数年度にまたがるが、期間会計中心の現状では管理指標が作りにくい。回収単位をマネジメントする製品”群”の考え方が体系化されていないことが原因として考えられる。

その問題意識を踏まえ、製品群や複数年度にまたがり採算性を評価していく原価企画や顧客価値会計における固定費の要件を整理したい。戦略性をもって固定費回収をしていくために、財管分離の考えのもと製品群への恣意的な負担(配賦)の仕組みを作り、回収期間の総合的な評価指標が必要である。原価企画や顧客価値会計の視点から戦略的固定費論を考察する。