原価見積の難しさ・・・

Posted on Sep 16, 2014 in blog

原価見積の難しさ・・・

2014年9月21日に、日本原価計算研究学会の全国大会にて研究報告します。12日には日本管理会計学会の全国大会にて研究報告をしました。この時期は学会の研究報告が重なる時期で毎年苦労します。日本原価計算研究学会の報告も、2011年から毎年報告していますので今年で4回目の報告となります。多くの先生方を前にするため、毎年工夫・苦労の連続ですが、権威ある日本原価計算研究学会の全国大会で研究発表させて頂けるのは本当にありがたい限りです。※大会概要はこちらから

 

今年は、「見積原価計算の問題点と発展的活用 〜顧客価値会計の概念を用いた考察〜」というテーマで報告をします。どの企業をみても、見積原価は本当に前近代的だなと思わされます。

企画品であれば設計開発でコストの約80%確定し、個別受注品であれば見積原価が100%するという状態です。設計段階での原価管理・原価見積・原価意識が重要である!と耳にタコが出来るまで聞かせれているにも関わらず、未だ勘見積から脱却できていません。頑張ってコストテーブルがあったとしても、鉄もの  ”キロあたり単価”  といったレベルです。見積が大事だ!大事だ!と言いながら、勘見積という滅茶苦茶な状態です。

そんな問題意識をもって、見積原価計算について報告をしたいと思います。

詳しくは、研究報告なので、別の機会に記載したいと思いますが、やはり大きな点は、「設計」と「原価(会計)」がバラバラであることが最大の問題だと思います。

実際原価や標準原価は、原価計算基準という国が定めた基準がしっかりあります。基準があるので、原価管理部や経理部が担当して計算業務などをやってくれています。しかし、見積原価は国は基準を定めていません。各企業が作っている製品の特性に応じて基準化しなければなりません。基準がないため、なかなか原価管理部や経理部が担当しない(できない)ことが多く、どうしても設計部門任せの場合が多いです。また、設計部門の方はどうしても原価について苦手(苦手意識)であり、なかなか体系だった見積原価を構築することができません。

このように、「原価は設計領域には手を出さない。設計は原価領域には手を出さない。」重要な2つの領域がバラバラであることが最大の原因であると思います。競争力ある製品・儲かる製品を実現させるために、この2つの領域の融合は欠かせないでしょう。

 

研究報告要旨

設計や開発における事前原価は、事業戦略への寄与度が高く重要な位置づけにあると言える。設計開発は、顧客価値を創造していく工程であると共に、製品原価の八割が確定してしまう工程でもあり、事業収益に大きな影響を与えるものとなっている。従って、企業は、顧客価値の作り込みと合わせて、製品原価を作り込みのマネジメントが必須である。

そこで欠かせないのが見積原価計算となるが、見積原価計算は、実際原価計算や標準原価計算と異なり明確な原価計算基準を有していない。標準原価計算や実際原価計算は、物や作業などの具体を中心に原価が展開され基準化が進みやすい。しかし、見積原価計算は、製品特性や性能など抽象を中心に原価が展開されるため基準化が進みにくく、属人的な勘による見積が未だ横行しているといえる。見積原価計算基準が確立されていないことで、「見積原価-標準原価-実際原価」の原価サイクルが確立できず真に原価管理や原価活用ができていないと言える。
また、顧客価値と見積原価計算の関連性も不明確である。そのため、顧客価値の作り込みと原価の作り込みに整合性が保てなくなっている。見積原価をより発展的に活用するためには、「製品価値(Function/Cost)=顧客価値性(Function/Price)✕収益性(Price/Cost) 」の概念に照らし合わせ、見積原価計算の基準化を考察する必要がある。
そこで、見積原価計算の現状の問題点を整理する。また、顧客価値を軸としてマネジメントされる顧客価値会計の概念を用いて、顧客価値創造へ寄与するための見積原価計算の活用についても考察する。
◆  Keyword
-見積原価-標準原価-実際原価の分離/整合(原価サイクル)
-見積原価計算における戦略的固定費論
- Specification based Costing(SBC)