情報のストック化 〜フロー情報のストック化が未来を変える〜

Posted on Apr 23, 2018 in blog

情報のストック化 〜フロー情報のストック化が未来を変える〜

 

 

今回は、管理している「情報の質」について語りたいと思います。多くの企業では、様々な業務に情報システムを適用し、業務を記録し、データ入力し、関連するドキュメントを登録します。情報システムにより、効率的な仕事ができたか「業務分析」を行ったり、トラブルなどがあった際に「トレーサビリティ」を確保することができます。また、過去の資産を有効活用するために、「検索」をしやすくしておきます。

 

 

 

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まとめると、情報管理は、「業務分析」「トレーサビリティ」「過去検索」などを目的として導入さることが多いと思います。これらは、情報の質からすると、” フロー ” の情報を可視化しているといえます。フローの情報とは、各業務の結果を登録することに該当し、これは業務間の手続き部分を可視化していることになります。少し見方を変えれば、仕事のOutputに着目した情報管理といえます。

 

一方、仕事のInputに着目した情報があります。それが ” ストック ” の情報です。ストックの情報は、思考を助けたり、業務品質の高度化に寄与する情報となります。わかりやすいものだと、「業務マニュアル」「設計基準書」「過去トラ集」などが該当します。少し極端な記述をすると、フローの情報は、業務が完了した後に記録する。業務そのものを高めるためというより、その時点のスナップショットを残しておくイメージとなります。しかし、仕事の質を高めるためには、仕事を着手する前に、思考を高めるためにInputする情報でなければなりません。(無論、何も記録を残してないより良いので、フローの情報であっても残すことに意味はあると思います。)

 

 

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しかし、近年、仕事の質を高めるために、情報を検索し、十分なInputをする人が減っている課題があります。過去資産を十分にInputをしないまま、直ぐに資料を作ったり、CADで絵を書き始めるのです。これは、働き方改革として、工数削減・リードタイム短縮が管理指標に掲げられ時間に追われていることが原因でしょう。そのためにも、業務記録としてのフロー情報を、ストック情報に変換し、より質の高い仕事ができるInputをさせるための情報システムが必要となるのです。

 

そのために行うべきことはいくつかありますが、1つ代表的なことを記載すると、情報をいかに自動提案させるかということになります。今から自分が行う仕事に関連する情報(過去トラ、技術メモ、基準書、過去案件での上長からの指摘コメントなど)を、自ら検索しなくても、関連しそうなものを自動的に提案されている状況をつくることです。よくAmazonなどで、レコメンド機能として商品を勝手に提案してくれます。それに近いようなものを企業の資産情報でも構築するのです。登録されている情報・ドキュメントの内容を自然言語解析・構文解析を行い、スコアリングし、機械学習で自動的に分類・提案を行う。近年は、ApacheSolrやPythonのライブラリなど、これらのテクノロジーがオープンソースでも公開されているので、ある程度のことは短納期かつ低コストで実現ができます。(ある程度、企業内で有効性を判断し、試行的に効果が確認できれば、オープンソースではない仕組みを導入しても良いでしょう。)

 

実現方法はいろいろありますが、重要なことは、情報をフローの状態で置いておかず、ストック化することが重要であるということ。この視点で情報管理を見直し、再構築が必要です。この数年で、企業における情報システムへの投資額が増えています。せっかく見直す今だからこそ、あるべきコンセプトで見直すチャンスとなります。多くの企業で図面管理や技術ドキュメント管理として、PDM(Product Data Management)を導入してますが、その多くがフロー情報の管理で終わっています。せっかく高額なシステムを入れても、業務結果をスナップショットで記録してくだけでは、不十分なのです。

 

また、詳しくは別の機会に記述しますが、特に設計情報を情報化する取り組みはこれからの情報ストック化における大きなテーマとなるはずです。設計は、CAD・Excel・Wordなどで仕事をすることが多いです。これらはデジタルデータですが、「情報」ではありません。あくまでも、絵、線、文字なのです。いかに絵から情報に変換するかが、フローからストック化への大きなキーワードにもなってきます。近年の動向として、ディープラーニングによって人間の精度を超える目を持つことができました。それにより例えば線で表現されている2次元CADの情報から、情報を抽出することもできるようになってきています。(これら”目”もGoogleのTensorflowなどのオープンソースを使い、学習させ実現させることもできます。)

 

新年度が始まり様々な取り組みを開始した企業が多いと思いますが、是非、これからの20年30年を見据えた情報管理とそれを支える情報システムの議論をしてもらえればと思います。

 

 

 

2018年04月23日

心をこめて・・・・ プリベクト 北山一真