BOMが設計をダメにする!?部品表が日本を沈没させる!?

Posted on Jul 15, 2015 in blog

BOMが設計をダメにする!?部品表が日本を沈没させる!?

さまざまな企業の設計改革をご支援させて頂いていると、過去にどのような取り組みを成功し、失敗しているかを知ることができます。特に興味深いのが設計部品表(E-BOM)の取り組みです。設計部品表とかE-BOMが設計を良くするというキーワードだけが先行していますが、正直、部品表を効果的に導入できている企業は少ないです。なぜなら、

 
基本的に、設計部品表・E-BOMは設計のためにならないからです。

 

|設計部品表は、調達・製造の肩代わり業務 

E-BOMを、“教科書的に” 述べると、「設計検討時に用い、主として機能構成を示している」「設計をより良くするための情報管理」などとなります。が、ほとんどの企業のE-BOMは、どんな状況かというと 1.E-BOMは、設計結果の管理 2.手配や製造のための、後工程指示の管理 となっていて、設計の結果を管理するものが、本当に設計のためになっているのでしょうか?ためになるというのは、設計前や設計中に参考になるものでなければ意味が無いですね。

しかも、多くの設計者の本音として、「昔は、図面だけ出図したら、調達も製造もしてくれてたのに・・・なんでわざわざ部品表登録がいるの?」「E-BOMって手配のための情報提供だよね。それって調達部門の仕事の肩代わりじゃないの?」そう思っている人も多いです。しかし、コンサルやベンダーが掲げる “全体最適” の名のもと、設計だけがバカを見る状態になっていませんか?

 

 

|思考停止が、情報管理の本質まで歪めてしまっている

もう1つ納得できないことが。なぜ1つの部品に、図番と品番と2つの番号が必要なのでしょう?世の中では、一元管理、一物一価、重複コードはダメで名寄せが必要だなどと、言っておきながらことBOMの事になると、1つのものに図番と品番と2つのコードを振ってる。製造業の基本は実物です。1つのものには1つのコードで管理すべきだと思いませんか?情報管理の鉄則です。

こういうと、BOM信者からは、「図番Revと品番Revを分けておいたら、単なる図面の誤記だけの変更と、部品そのものが変わった際の・・・・・・・・」などと熱く語られそうですが。すべての言い分は、1つのものに2つのコードを管理することを正とした時の、後付の理由です。そもそもそんな番号管理いるんですか?と聞きたいです。そりゃ、1つのものに対して2つの管理コードふったらいろんなことができるようになるが、それを言い出したら、1つの部品に対して、営業の観点で必要な管理番号フルんですか?メンテナンスの観点で必要な管理番号フルんですか?と聞きたい。ようは、BOMを導入したら、1物2管理番号が鉄則。なぜならBOMとはそういうものだから・・・と思考停止に陥ってないかと聞きたいです。

 

|改革テーマを探すと、BOMしかなかっただけ

そもそも、このE-BOMを改革テーマに選定される経緯も、”アウト”と思うような状況があります。すべての企業ではありませんが、次の経緯でBOMが選定された企業は何社も見てきてます。設計効率は何十年前から大きな課題で、さまざまな取組を行っています。テーマを見つけては取り組みを続けている企業も多いでしょう。そして、改革推進社はこう思う。  

 

CADの見直しはやった、図面管理システムは導入した。それでも設計効率は上がらない。他にテーマはないか。設計製造ソリューション展などいったら、BOM。BOMと掲げられている(*1)。成功事例なども報告されている(システム稼働に成功しただけで、設計で効果が本当に出たのか?と思うが)。何かテーマを探さなきゃ。*1:2015年の設計製造ソリューション展行ったら、BOM色がかなり消えてました。2005年くらいから2010年くらいまで製ソ展でもBOMは大きく占めてましたが。 
本当はCADや図面管理システムで追加テーマしたいが、社長には、導入に成功していると報告しているから、同じテーマ名で改革はできない。(過去が失敗だっと認めることになるから) だから、目新しいキーワードが必要。BOMだ。BOMの取り組みしてない。まずは、ベンダーの話しを聞いてみよう・・・・

 

なんて、感じで新しいキーワードのBOMに飛びつくってかんじですね。んーーー。って思います。

 

|E-BOMは設計のためにならないが、設計者はバカを見る必要がある。

あれやこれやと書きましたが、だからといってE-BOMが不要かというとそうではなくて、必要です。しかし、それは設計のためになるわけではなく、会社全体のために全体最適のために、設計にバカをみてもらい、E-BOM登録を行ってもらいたいということです。今でも、E-BOM導入のプロジェクトはご支援させて頂いています。しかし、その際に必ずメッセージとして伝えるのは、

 
E-BOMは、設計を強くするとか、設計のためになるなんてことは、口が裂けても言いません。E-BOMは設計を弱くします。しかし、会社全体のために会社全体を強くするために、設計にはバカを見てもらわなきゃなりません。

E-BOMは設計の役には絶たないということを前提に、設計にどう導入するかを考えるし、別のところで設計を効率化する手立てを一緒に進める必要があります

 
 

と。大切なのは、E-BOMは設計を弱体化させるという前提にたって議論を進めることだと思います。

そんなことも含めて、ホワイトペーパーに綴っているので、もし興味があれば一読ください。 「BOMが設計をダメにする!? 部品表が日本を沈没させる!?~強い設計への改革シナリオ グローバル時代を生き抜く設計とは~」 詳細はこちら(http://prebecte.com/201410whitepaper-2)  

 
次回に詳しく触れたいと思いますが、自社企画量産品と個別受注ではBOMのあり方は変わります。今回はかなり乱暴に書きましたが、自社企画量産品においてはE-BOMが必要な要素も確かにあるので、全てを否定はできないですが、正直個別受注においてE-BOMは、設計を弱体化させる諸悪の根源でしかないです。

 これもまた、次回に触れますが、BOMの要素の中で、PS(Parts Structure)は、情報を体系的に階層的に管理できるので必須だと思います。また、最近は、個別受注企業において、部品表ではなく、図面表というものを導入する企業も増えてます。そのあたりも触れたいと思います。

 
 

2015年07月14日 想像力をもって・・・

プリベクト北山一真