Posted on May 26, 2025 in blog
少し前になりますが、日刊工業新聞社 機械設計2025年4月号 PLM特集にて記事を執筆しました。(雑誌詳細に関してはこちらから)。特集 第1部 解説1を担当させていただいたのですが、あわせてダッソー・システムズ様とキャディ様が執筆されています。事前に2社とは内容に関してすり合わせを行い、ある程度一貫性をもたせた記事にしています。私の解説1は大きな考え方、解説2,3はテクノロジーの視点で書かれています。それぞれの立場があるため完全に一致した考え方になっていませんが、大きな考え方はつながっているため読み応えのある特集になっているのではないかと思っています。もし機会があれば手にとっていただければ幸いです。
紙面発売後、様々な方からコメントや質問を多数いただきました。紙面の都合上、書き切れなかった部分もあるのでいくつか補足をしておきたいと思います。
様々なコメントの1つに、「CADとE-BOMが双方向でつながる必要がある」という部分です。CADからE-BOMを自動生成させる部分は多くの企業で議論されていても、逆のE-BOMからCADへの連携の議論が抜け落ちている場合があります。ざっくり表現すると、後工程の情報をCADにフィードバックさせるということになります。後工程の品質/原価情報(属性)をCAD属性にフィードバックさせたり、それらに関連しているドキュメント(場内試験結果の図書、調達がメーカーから受領した見積書など)のURLをCAD属性にフィードバックさせるということになります。M-BOM/P-BOM→E-BOM→CADというフィードバックの流れを作るという意味です。紙面を読んでいただいてその必要性を改めて理解し、要件に追加したなどのコメントを多くいただきました。訴求の必要性を改めて感じました。ただ、紙面を読んでもE-BOMからCADに連携は必要ないのでは?M-BOMの情報をE-BOMにフィードバックするのは理解できるが、わざわざCADまでフィードバックさせる必要性がないのでは?といった声もいただきました。2つの点で補足しておきます。1つ目は、そもそもなぜ後工程情報のフィードバックが必要なのかという点。2つ目は、その情報をなぜCADまでフィードバックさせる必要があるのかという点です。
1つ目の後工程情報のフィードバックという点です。そもそもフィードバックに疑問を感じる人の根底には、「業務フローが回せたら良いじゃないか」という思想があるように思えます。「図面を適切に出図できればいい」「E-BOMを適切に後工程に出力できればいい」業務フローだけを考えれば、CADでモデリングや作図が終わり、そこからE-BOMを作成し、後工程へ連絡する。その視点からだとCAD→E-BOMの一方通行の連携ができれば十分だからです。紙面にも書いたのですが、フローのIT化という視点で要件を見ているからだと思います。それで仕事が回せるから良いじゃないかで考えるなら、既存システムで良いと思います。わざわざ高額なPLMを導入する意味がどこにあるのか?と思います。老朽化やサポート切れで既存リプレースのコンセプトでPLMを導入するのであればそれはそれでありですが、システム革新とかDXとかの文脈で導入するなら、「出図できればいいじゃないか」ではもったいないと思います。
フローのIT化の視点だけでなく、良い製品を作るためのプラットフォームやストック(資産データ)という視点での議論を行ってもらいたいと思います。製品情報を可視化するとか、情報のストック化とか、後工程の情報をフィードバックするという視点で要件の検討を行ってもらいたいです。それが、わざわざ高額なPLMを導入する意味だと思いますし、ワンプラットフォームにし、部門間がつながるメリットだと思います。是非、フローの視点だけで議論せず、ストックの視点でのデータモデルの議論を行うと、後工程の情報をフィードバックさせる意味が共有され、それが競争力ある製品を生み出せるプラットフォームに生まれ変わると考えています。
2つ目のなぜCADまでフィードバックさせる必要があるかについて。要は、CADとE-BOMの双方向性について。先ほども述べましたが、後工程情報(品質情報や原価情報)を設計者にいかにフィードバックさせるかを重要視しています。後工程情報は実力値であり、設計はあくまでもシミュレーション情報や設計条件下での品質確認にすぎません。実績や実力は後工程にしかないため、その実力を設計にフィードバックさせなければ、実力がわからないまま設計することになるからです。そして、設計者が品質や原価をどこでコントロールするかというと、システム的にいうとCADであり、作図やモデリングの際にいかに品質と原価を意識した諸元選定ができるかが重要となります。CADで品質も原価もコントロールしているなら直接的な部分に情報を集めるのが原理原則的に正しくなります。そうすることで、設計者にはCADと向き合う時間を取り戻してほしい、昔のようにCADとひたすら向き合うことで、最終的には ”危ないところが光って見える” というベテランならではの特殊能力を身に着けてほしいと思っているからです。この特殊能力こそが競争力の源泉であると思っているからです。なのでできるだけCADに情報を集めて、CADを中心とした仕事をデザインすべきだと思っています。このような思想で、PLMのシステムコンセプトやデータモデルを検討する際の参考にしていただければと思います。
2025年05月26日 プリベクト 北山一真
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