Posted on Jun 3, 2025 in blog
前回(CADとE-BOMの双方向性)にて、機械設計での執筆の補足解説をしました。それ以外にも「BOMを考える際に、企画量産型と個別受注型では考え方が大きく異なる」というのを改めて知ったというコメントも多くいただきました。紙面の都合上、企画量産型と個別受注型の違いにあまり触れられなかったので補足しておきます。
企画量産企業と個別受注企業ではBOMの活用方法が異なります。E-BOM、BOP、M-BOMという視点だけでみたらほとんど変わりません。細かく見ると企画量産型の場合はバリエーション管理や仕様差の管理をどのようにするか?という課題があり、E-BOMの上位に論理構成(150%E-BOM・Super-BOM)が必要になります。その場合は、論理構成と要求仕様から100%のE-BOMをどのように生成するかも課題となります。そしてM-BOMにおいては、個別受注は在庫ポイントが少なく連続工程が多くなり、結果としてE-BOMとM-BOMの構成は似てきます。また、企画量産は在庫ポイントが多く、結果E-BOMにはない品目(ファントム品目)が発生し、E-BOMとM-BOMの変換にひと工夫が必要となります。( M-BOMの在庫ポイントやE-M変換については別途触れたいと思います ) いくつか触れましたが、大きく見たら企画量産と個別受注で差が少ないと思います。
企画量産と個別受注では、E-BOM・BOP・M-BOM以外に大きく差がでてしまいます。ざっくりいうと多くのPLMパッケージは企画量産型には対応できていても、個別受注型には対応できていないケースがあります。パッケージ選定の際には注意してもらいたいです。例えば、P-BOMです。企画量産は基本的にはP-BOMは不要です。例外的に試作手配の部分でP-BOMを使いますが、量産後の手配はERPにてMRPを実行した結果で所要量に応じて購買依頼が作成されます。
一方、個別受注ではP-BOMが重要な役割を担います。この違いはなぜか?個別受注では案件の都度、手配仕様・支給品管理・直送管理などの手配業務の一部を設計が担っています。設計が直接メーカーと協議し仕様を調整したり、大枠での価格調整や納期が間に合うかなどの確認もとります。そのため設計が、手配仕様書や支給指示書などを作成し社内指示を行っています。その代替となるのがP-BOMです。設計がP-BOMのPS属性などを入力し、それが調達へ流れます。E-BOMのアセンブリ承認がされれば、P-BOMのPS属性に管理しているステータスが変更され手配業務が開始されるようになります。その結果、ERPの購買依頼データとしてI/Fされるのです。P-BOMのざっくりとした構成用としては、品目(何を買うか?)、数量(何個買うか?)、納期(いつ納めてもらうか?)の3つになります。品目はマスタ要素で、数量・納期は案件固有のトランザクション情報となります。
品目(何を買うか?)というマスタ情報は、E-BOMからP-BOMが生成されるので問題ないです。(厳密には、材料・副資材・工程外注などはBOP/M-BOMからP-BOMにデータが追加生成されます)。
数量(何個買うか?)は、BOMだけでは判断できません。個別受注品といえども、完全一品物もあれば、同仕様を2,3台受注するような製品もあります。完全一品物の場合は「手配数量=EBOM員数」でよいですが、複数台受注する場合は「手配数量=EBOM員数 * オーダ数」となります。
納期(いつ納めてもらうか?)も、E-BOMだけでは判断できません。スケジューラーで日程計画をした結果で納期が決まります。またそれに応じて設計が支給品手配や指示なども行う必要があるため、納期情報をP-BOMに返す必要がでてくるのです。
このように、(良いか悪いか別として)設計が手配業務の中心にいる個別受注においてはどうしてもP-BOMが欠かせない存在となります。しかも、P-BOMはマスタ情報(品目)だけでなく、トランザクション情報(数量・納期)も管理せざるをえない状況のため難しさが増します。PLMはマスタ情報を扱うことは可能ですが、トランザクション情報を扱いにくいものがあります。改めてP-BOMの存在意義や活用目的なども確認して要件定義をしてもらいたいです。
2025年06月02日 プリベクト 北山一真
Blog-List