先日、2015年8月30日に、日本管理会計学会2015年度全国大会で報告してきまいた。2011年から当学会の全国大会で報告をしているので5回目の報告となりました。「大会プログラムはこちらから」 「製造業における管理会計的固定費論 -財管一致の問題点と原価企画機能からの考察-」という議題で報告をしてきました。 毎年のように言い続けているのが、多くの企業の管理会計が、期間損益を中心に行われています。期間損益は、財務会計があるからやらざるを得ないのですが、管理会計も期間損益一辺倒になっているのが、やはり問題であると思っています。しかも、財管一致(財務会計と管理会計を一致させる)というキーワードのもと、財務会計をベースとした管理会計になっているのも大問題です。財管一致も管理会計をベースにて財務会計ならいいのでが、あくまでも外部向けの数字をもとにした、内部評価という、まったく「トンチンカン」な会計です。 また、管理会計には、2つの軸が存在します。1つは期間損益です(縦の損益)。もう1つは、プロジェクト損益(横の損益)です。製造業において、もっとも評価しないといけないのは、このプロジェクト損益の方です。どの案件が儲かったのか?どのプロジェクト投資が回収できたのか?など、個別案件(事業)の採算評価が重要なのです。それらを、ある期間で区切ったものが期間損益であって、事業の本当の強さを評価するにはプロジェクト損益をマネジメントしなければなりません。 ...
Read Moreさまざまな企業の設計改革をご支援させて頂いていると、過去にどのような取り組みを成功し、失敗しているかを知ることができます。特に興味深いのが設計部品表(E-BOM)の取り組みです。設計部品表とかE-BOMが設計を良くするというキーワードだけが先行していますが、正直、部品表を効果的に導入できている企業は少ないです。なぜなら、 基本的に、設計部品表・E-BOMは設計のためにならないからです。 |設計部品表は、調達・製造の肩代わり業務 E-BOMを、“教科書的に” 述べると、「設計検討時に用い、主として機能構成を示している」「設計をより良くするための情報管理」などとなります。が、ほとんどの企業のE-BOMは、どんな状況かというと 1.E-BOMは、設計結果の管理 2.手配や製造のための、後工程指示の管理 となっていて、設計の結果を管理するものが、本当に設計のためになっているのでしょうか?ためになるというのは、設計前や設計中に参考になるものでなければ意味が無いですね。 しかも、多くの設計者の本音として、「昔は、図面だけ出図したら、調達も製造もしてくれてたのに・・・なんでわざわざ部品表登録がいるの?」「E-BOMって手配のための情報提供だよね。それって調達部門の仕事の肩代わりじゃないの?」そう思っている人も多いです。しかし、コンサルやベンダーが掲げる “全体最適” の名のもと、設計だけがバカを見る状態になっていませんか? |思考停止が、情報管理の本質まで歪めてしまっている...
Read More設計や開発は、競争力がある製品を生み出し、常に高みを目指す必要があると考えてます。発想力も問われるし、ゼロベース思考も求められる。だから、常々、設計を我慢させるような「設計標準化」の取り組みはナンセンスであり、設計高度化を説いてきました。決して我慢させてはダメと強く思います。 しかし! だからといって、制約が不要というわけではないです。逆説的ですが、『 制約があるからこそ、自由がある 』 ということです。制約がないところに、真の自由や発想は生まれない。 |自由を勝ち取るための制約とは? しかし、間違った制約を与えると間違った方向に思考が向いてしまいます。制約は思考や意識を方向付け、思考の流れを作り出します。だから、どのような制約を与えるかでOutputがかなり変わってくる。では、設計にとって、最も大切な制約は何か? それは、『 固定費マネジメント 』だと思ってます。 固定費マネジメントとは、設計者が固定費を増やさないようなコントロールをすることです。機能を実現するためには、材料や部品といった変動費を扱い、逆に、固定費は儲けを担う。(* 固定費がなぜ儲けにつながるかは別の機会にまた書きたいと思います)少し乱暴に書くと、「顧客要求品質を満たすための設計基準(変動費マネジメント)」 と 「儲けを生み出す制約の原価基準(固定費マネジメント)」 の2つが存在します ...
Read More設計ナレッジを可視化をするご支援をしています。設計ナレッジと言っても、経験・工夫・苦労・失敗・ルール・背景など様々な観点での洗い出しが必要となります。そこで重要になるのが、『 言語化する 』ということです。 |「脱!形状」の意識が言語化の第1歩 設計内容は、言葉(口頭) や CAD(形状)で伝えられることが多いのが現状です。そのため、設計者自身が設計内容を言語化するということ自体に慣れていません。 まず、製品構造を体系化するにあたって、「品名」と「方式」を可視化しますが、その 『 名付け 』 に皆さん苦労します。 品名は、機能、役割、目的 を示す名にする 方式は、機能を実現する方法、構造的な違いを示す名にする 特に、方式違いがある部品や機構の時に苦労します。品名・方式に 『名付け』 できるかが、言語化の第1歩となります。※ある部品をスライドさせる方式として、ローラー方式や直動ガイド方式の方式違いなどのこと。 方式名でよく見かけるのが、「標準型」「特殊型」などよく見かけます。時には、「○○案件式」みたいな通称を使って会話していることもあります。いつも形状や図面で会話しているとこうなってしまうことが多いのです。まず、この正しい名付け(言語化) ができれば、設計やモノの見方がかなり変わると思います。 |言語化の過程で「本質を見る」「設計を考える」が身につく...
Read More技術者の経験・工夫・努力・失敗(私はこれを技術資産と呼んでいる)を可視化し、共有し、高度化していくコンサルティングをやっていると、この技術資産をどう管理していくか知的インフラのあり方に悩みます.ここ20年くらいで企業としての技術資産のあり方が変わったと思いますので、知的インフラのあり方について書き記したいと思います. ■ネットワーク型の知的インフラ 経験や技術資産を企業として管理し活用する仕組みとして知的インフラの構築が必要です。昔は、先輩は自分より知っていて、先輩は後輩の道のほとんどを通っています。後輩の経験を包含し、より幅の広い知識を有しているため、「ピラミッド型」の技術資産のあり方だと思っています。積上・年功序列・一本道・農耕組織などのキーワードが当てはまります。そのため必ずベテランはマイスターであり、組織の中で何でも知っている大黒柱となるのです。 一方、ここ10年,20年の傾向としては「ネットワーク型」になっているように思えます。組織内で経験の領域が分散されており、ある意味分業やM&Aが進んでおり、経験が分散されてるとも言えます。分業型・多角事業・M&A・狩猟組織・個の独立などのキーワードが当てはまります。先輩や組織長が設計レビューしようとしても自分のやったことのない設計図面をレビューすることが増えてきていると思います。 ■ネットワーク型の知識へのふるまい方...
Read Moreみなさま。あけましておめでとうございます。 2015年が始まりました。プリベクトの今年の抱負は、「礎」です。2015年2月で創業丸 5年 となります。2014年はソリューションセミナー、ITソリューションベンダーとの協業セミナー、学会などプロジェクト活動以外にも力を入れた年になりました。次なるステップに挑戦するためにも、5年間で培ってきた経験を振り返り、足元を固めるという意味で「礎」を抱負にしました。 「技術」と「会計」を融合する。このコンセプトを実現すべく企業改革を支援したり、研究を重ねているのですが、どうしてもまだまだ間違った認識が広まっています。「 設計の見直し=BOM/PLM 会計の見直し=ERP 」 このような先入観のもと、間違った改革活動をしている企業を多く見てきました。設計の改革はBOMなのでしょうか?ERPを導入すれば会計は良くなるのでしょうか?これらの活動はバラバラに行われており、企業の付加価値と採算性を左右する設計領域において、「技術」と「会計」がバラバラとなっています。魅力ある製品かつ儲かる製品を実現するには両方の融合が欠かせないのです。 ...
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